建前とは一日で家の骨組みを建てることで、屋根の形まで作り上げます。日本は雨の多い気候風土なのでできるだけ早く屋根を作って木材を濡らさないようにしたいのと、骨組みの木材は大きくて重いので人手が必要なので、多くの人を集めて一日で一気に工事します。
大安吉日を選んで建前は行われます。お陰様でお天気も晴天。気持ちよく雲ひとつなく晴れ渡りました。
前日までに骨組みの木材たちは現場に運び込まれ、土台も敷枯れています。8時前、大工さんたちが集合します。
揃いのハッピを着て、工事の安全を祈願し日本酒をいただき、棟梁は建物の四方に盛り塩をします。これは大工さんの儀式であり、お客様はあまり見ない光景かもしれません。
レッカー車のエンジンがかかるとスタートです。柱や梁には全て番号がつけられています。図板と呼ばれる板にどういう加工をするかが書かれ、いろはにと123で柱に番付けと呼ばれる番号が振られます。今回の建前は八人の大工さんでおこなわれましたが、番号が振られているので細かな指示がなくても動いていけるのです。柱をほぞ穴にさして、かけやと呼ばれる長い柄の木槌で叩いていきます。
大工棟梁
石崎 真也氏
休憩は10時と、お昼と3時の三回で夕方5時まで作業をします。休憩時のコーヒーやジュース、お菓子なども施主が準備します。
お昼には1階はの骨組みは完成、お昼ご飯も施主が弁当を取り、大工さんたちと食べながら親睦を深めます。
午後からは2階部分と屋根を作ります。1階、2階それぞれが組み立て終わった後にはなびきを起こします。なびきとは直角のこと、柱をほぞ穴に入れただけでは垂直にはなっていないので建物全体で傾きを補正します。今回の家では桁行き方向を6mの長い梁を一本でかけたので、なびきを起こしやすいと大工さんは話してました。
2階には古材の大黒柱を使わせてもらいました。昨年松山で解体した現場でいただいた古材です。
柱も全て杉とヒノキの地元自然乾燥材、自然乾燥材の場合は表面が割れますので、四面にスリット状の溝を最初に入れて割れを防いでいます。
梁の継ぎ目は木栓打ちです。金物も使いますが、金物より木栓の方がやっぱり丈夫です。
棟木には墨書きが、墨が滲まないようにチョークを塗ってから一気に書き上げてくれてます。
5時に野地板まで貼り終えると作業は終了。上棟式の準備です。1階に仮の床を作って地鎮祭の時と同じお供えを用意します。
地鎮祭は神主さんに来てもらいますが、上棟式は棟梁に祝詞をあげてもらいます。
上棟式が終われば、大工さんにご祝儀を出し、休憩の時の残ったビールやジュースをお土産に持って帰ってもらい建前は終了です。大工さんが沢山くるのはこの日だけ、あとは二人ぐらいで造っていきます。