在来工法の耐震は筋交いと呼ばれる斜めの材料を柱と柱の間に入れていく。これは筋交いのない壁を1として、筋交いが入った壁はない壁の2倍や2.5倍などと計算できるためである。
床の面積に基づいて必要な壁の長さが決めれれており、壁の長さが不足する場合のやり方である。壁量計算と呼ばれる。
今回の家も壁量計算に基づいて建築基準法に定められた壁量の1.4枚程度を配置している。これは地盤調査では地面の硬さは問題なかったものの、周辺の地層は地震時に液状化を起こしやすく、また揺れが大きくなると予測されている場所だからである。
筋交いには片側だけ入れるものと、たすき掛けに二本入れるものの二種類があり、筋交いに使う木材の太さで倍率が変わる。
筋交いをすべての壁に入れてしまうと将来リフォームなどする場合に壁を取ることができなくなるし、二本入れる筋交いは施工性が悪い。最近は外壁に構造用合板などを貼る方法もあるが、外壁全部を合板で固めてしまうのは古民家を知っているものから見ると抵抗がある。ある程度建物は揺れる方が全く揺れずにいきなり倒壊するものより強いと思うからである。
また筋交いを入れる場所も重要で、建物全体を見ながらバランスよく配置しないと地震の時に壁の少ない方向に建物はねじれていく(偏心)。
今回は片側の筋交いをベースに、建物の中心部分にたすき掛けの筋交いを配置、さらに建物のねじれを防止するために外周面の四隅にだけ構造用合板を打ち付けて見ました。
構造用合板は通常柱表面に打ち付けるが、四方の柱は4寸で外装仕上げの納まりが悪くなるために柱間に打ち付けている。
効果の程は地震が実際起こらないとわからないが、地震は怒らない方がいいですよね。
柱がこげ茶になっているのはキシラデコールという防腐剤を塗っているからで、この後合板にも塗られます。
軒先に付けられたねじり金物、実は垂木の天端から軒桁にもビスが打たれているが、さらに補強として打ち付けられた。
小屋梁と柱を結ぶホールダウン金物、これもあまり使われませんが、ひっくり返して使うことで基礎の部分に使うのと同じく浮き上がりを防止してくれます。
ウマと呼ばれる仮設の組み立て式の作業台、この上で大工さんが木材を削ったりします。
サッシも現場に入ったみたいです。サッシを先に取り付けてから外壁の工事にかかります。
屋根も綺麗に出来上がりました。